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2017年9月22日 (金)

思い出引き出し③

集まりの回数は少なかったけれど、強烈な思い出は怪談です。

5・6人が我が家の座敷に集まりました。

八畳の間に電灯が一つ、何故か小さな夏布団が一枚真ん中に置かれていました。

電灯を消すと目をつぶっているのと同じくらいの闇に包まれます、

それだけで十分怖く、互いに身を寄せ合って布団の端を握りしめました。

ゆっくりとリーダーの怪談が始まります。

今から思えば「のっぺらぼう」とか「タクシーで病院から家に帰った幽霊」「化け猫」など、たわいのない話ですが皆真剣に怖がりました。

話の合間にリーダーが

『ほら!床の間にのっぺらぼうが・・・』と脅すと固く目をつぶり潜り込もうと布団の端を引っ張ります、

四方八方から引っ張られた布団は千切れんばかり、

『あっ欄間に化け猫が!』で、恐怖は頂点に達しオシッコをちびりそうな悲鳴をあげる有様でした。

電灯が点けられると涙と汗でクチャクチャになった顔が並んでいました。

そこへ運び込まれたのが、大皿一杯に盛られた、くし形に切ったトマトでした。

白状しますとダンボはトマトが食べられませんでした、

今のトマトと違い昔のトマトは甘みが少なく独特の香りが強過ぎて口にすることができません。

でも、目の前にあるトマトの山が四方から伸びる手でドンドン小さくなっていくと、一人だけ部外者になるのに耐えきれなくなりました。

思い切って一切れ口にすると、皆と一緒になれたという安心感か、それほど嫌うものではありません、

勢いに任せ一切れ二切れ三切れと頬張っているうちにトマト嫌いが嘘のように克服できました。

それにしても、我が子が大嫌いな食べ物で大勢をもてなす昔の親の考えは、情が薄いのか厚いのか?いまもって分かりません。

                                     おわり

                                      

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