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2012年6月21日 (木)

ドラマチックだぜぇー

昨日は、独居老人の慰問テープ「せせらぎおしゃべり訪問」録音日だった。

前回、番組編成の折、

万事控え目で謙虚なTさんが、珍しく自作原稿を読みたいと申し出た。

題は「ドラマチックな俳句たち」

高校で国語の教鞭をとっていたTさんの得意分野、皆が大いに期待した。

そして、昨日。

Tさんが原稿の下読みをしたら、期せずして8人全員が拍手喝采。

筆者Tさんの許しを得て紹介するが、

話し言葉で書かれた美文のすべては無理なので要点のみで堪忍してもらう。

「ドラマチックな俳句たち」第1回目

『愛されずして沖遠く泳ぐなり』藤田湘子(フジタショウシ 本名・良久)

女から拒絶され、海岸から遠く離れた沖を泳いでいる自分に気づく・・・

この句の素晴らしさは「沖遠く泳ぐ」で、愛されたと思っていた人からの隔たりの大きさ。世間すべての人から見放されたように感じている。「沖」とは楽しく暮らす人々と無縁の場所、孤独地獄を具体化した表現だ。

ここまでだったら、別にたいしてドラマチックでもない。

Tさんの話は

愛の話を恋と考えなかったら? とすすんだ。

17文字の俳句には余白がたっぷり控えている

作者の表現を逸脱さえしなければ、読者は余白をそれぞれの想像で満たして楽しむことができる。

この句は5・7・5ではなく、7・5・5で構成され作者は冒頭の”愛されないこと”を強調している。

恋のように0から育てるものでなく、もともと当然あるものと信じていた「愛」の不在を知ったなら・・・・

それは親の愛、

「自分は親に愛されていない。」そんな思いを胸にしたことのある人は少なくないのでは?一過性のものでも心震える暗い悩みだ。

近年、母親との確執を訴えている女性の話をよく耳にする。恋はやり直しができても、親子は一期一会。

Tさんは、この句からそうしたドラマを感じたと話した。

「愛されずして沖遠く泳ぐなり」


ボランティアをしていたらこんな素晴らしい体験ができる。

俳句は「ドラマチックだぜぇ」

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コメント

いらんこと、言います。かんにんどすえ。

後年、キリッとした立ち姿を句に目指した湘子の若き日の代表作として、この「愛されずして・・」が取り上げられます。恋の句として解釈されている方も多いと思いますが、湘子がそんな甘い句をつくるわけが、おまへんやん。

高浜虚子と袂を分かった水原秋櫻子は「馬酔木」を創刊しその清新な句に湘子は心酔します。内弟子になり、なんとか認めてもらいたいと努力をかさねるのです。
ところが、秋櫻子の元には優秀な弟子たちが集まり、とりわけ石田波郷は突出した存在として、誰もが認めていました。
後に湘子は本の中で「波郷こそ永遠のライバルだった」と書いていますが、私はそれは違うとおもいます。
湘子は波郷の圧倒的に豊かな叙情性を最も「恐れ、羨み、諦観」していた人です。
ライバルという言葉に彼の真情が表れています。

長くなりましたが、「愛されずして・・」は湘子が師に愛されずして・・・なのです。
本人がそう書いています。
そこには、波郷への複雑な思いが込められています。

でも、俳句は読む人が勝手に読めばいい文芸なので、恋の句ととらえても、一向に差し支えないとはおもいます。

おじゃましました。

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