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2009年5月28日 (木)

うなされた本

 夕べ久しぶりにナイトキャップにウイスキーを飲んだ。
 
 山崎豊子著「沈まぬ太陽」を最後まで読みたくて午前3時になり眠れなくなったからだ。

 この小説の目次の裏には次のように記されている。

 「この作品は、多数の関係者を取材したもので、登場人物、各機関・組織なども事実に基づき、小説的に再構築したものである。但し御巣鷹山事故に関しては、一部の関係者を実名にさせて戴いたことを明記します。」
 「この作品はフィクション」でなく「仮名を使ったドキュメンタリーである」と宣言している。

 この作品で、山崎豊子氏が名誉毀損で訴えられたという事件は記憶にないから、信憑性が裏付けられたのだろうか?

 恐ろしい内容であり、発表され7年経ても一向に変わっていない政・官・財のドロドロと癒着した関係に呆れてしまう。それに加え、会社の労務対策で生まれた労働貴族の強欲が描かれていて吐気を催す。

 三部作 アフリカ編・御巣鷹山編・会長室編の中でも、ショックを受けたのは御巣鷹山編だった。

 史上最悪の航空機事故と言われている意味が分かった。

 報道規制が厳しい中、某写真週刊誌に載った凄惨な1枚を忘れられないが、ヘリコプターで吊り上げられる生存者の明るいTVニュースへ逃げる自分がある。

 文章で描かれた事故の実態は想像しがたいむごさだった。ほとんどの遺体がバラバラで、遺族が足1本でも顎の一部でも身内を探して遺体を手に取り確かめる姿、耐えられない死臭の中で懸命に遺族を助け励ます人達。献体したのを一瞬後悔させられた。

 会長室編での、政治家、高級官僚、実業家、の汚い金と権力で繋がった内容は驚きはしなかった。

 魑魅魍魎が跋扈する中で正義が潰されるのに怒りは覚えたが、それも今の日本では珍しくないと諦めが先に立つ。

 航空機会社(日航)の上層部に司直の手が入り、正義派の社員が左遷され、飛行機の中でアフリカの大地に心の傷を癒してもらおうと「沈まぬ太陽」に思いを馳せるラストだが、うなされる程後を引く本だった。

 興味のある方は……http://ja.wikipedia.org/wiki/沈まぬ太陽


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コメント

日航機事故といえば、「クライマーズハイ」を読み、その事故現場の凄惨さに衝撃を受けたものです。事故そのものだけでなく、新聞社、地方新聞、会社と記者・・・いろんなことを感じ、まるで自分がその渦の中にいるかのような気持ちになり、悔しい思いやもどかしい思いをしたはずなのに詳しいことを忘れていることに今気づきました。
また再読してみようっと。
「沈まぬ太陽」もいつか読みます。
先生に貸してもらった「夢をかなえるゾウ」まだ読んでません(^^ゞ 今、以前読んだものの、そのよさをしっかりわかっていなかったような気がしていた「重力ピエロ」を再読中です。映画、見たいなあと思い、見る前にもう一度と・・・

 「クライマーズハイ」は佐藤浩市主演のテレビドラマでダンボも深い感銘を受けました。(原作は読んでいません)が、多分「沈まぬ太陽」の方が描写が詳しいと思います。
 「沈まぬ太陽」も映画化を何回もされれいるようです。しかし、読んで危惧するように社会的な反響を考えたら頓挫するのも頷けます。
 今度、山崎豊子氏は「沖縄」をテーマに大作を仕上げたそうで、近々買う予定です。

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