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2009年2月14日 (土)

受賞するだけのことはある

 YUには「タミフル」が劇的に効いた。一晩で熱が下がり食欲が戻る。まだ2日間は感染させるウィルスの塊らしいから、マスクをしている。

 これで安心して家に帰れる。

 で、今日の記事はRYOの誕生日で後回しになった第140回芥川賞作品、津村記久子著「ポトスライムの舟」について・・・・

002  不思議な作品だ。小説に「愛」と「死」はつきものなのに無い!オードブルから始まり何かこれといったものが出ないのにデザートになったコース料理みたいだった。

 そして、私の想像力不足なのか、風景が見えてこない。代わりに、登場人物とその小道具は底の底まで感じられる。

 特に主人公のナガセは年収を丸々つぎ込んで世界一周したがったり、『今が一番の働き盛り』と彫り物をしたい執念にもえたりするが決して飛んだ女性でない。使った小遣いを細々記録する堅実な派遣社員で、その暮らしがリアルに描かれている。

 ナガセと母親と友人とその子供。浅いようで深く、深いようで淡白に、不思議な暖かさで繋がっているのが心地よい。

 関西弁の会話も上手いを通り越している部分があった。

 一言観音に願い事をする場面、幼稚園児の恵奈が「わたしは小学校にいけますように」とお願いすると決めたら、周りの大人は『小学校はいけるやろ、さすがに』『そやで、べつのお願いにしようよ』と勧める。

 「さすがに」は。関西の人間しか共感できない言葉だと思った。

 無闇と長いセンテンスがあってもそれがリズムを作って読み易いし。雨の休日に恵奈とナガセが二人だけで留守番する場面など大好きだった。

 波乱万丈ではない。ワーキングプアの暮らしに襲いかかる波を、目を吊り上げないでやり過す。やんわりした強かさが緻密に綴られ優しい気持ちにしてくれた。

 愛は無いといったが、やはりこの小説の主題は人間の愛だと感じた。

 私にとって、他の真似や類型が見付からない作品として素晴らしく、受賞したのが当然と思った。

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