« ホテル料金 | トップページ | センセでヨカッタ »

2009年1月24日 (土)

bonのメールと版画

 今朝の凛とした寒さ、昼過ぎ雪が落ちてきた。ふと、先日きたbon君からのメールと版画を思い出した。
 技術畑一筋に勤め上げ、定年後も自営でその才能を生かしているのに、彼は文系かと間違うくらい芸術好きだ。
 そして、時折短編小説の様なメールで近況を知らせてくるし、版画の作品も送ってくる。
Photo bon君の銅版画「沈黙の狭間」
先日、愛宕山が雪化粧をした日でした。朝方に点滴を打ちに病院へ車を走らせていました。雪の舞うそれはそれは寒々とした風景でございました。
 御室仁和寺の前を南下して嵐電御室駅の前にさしかかった時でございます。雪中を一台の自転車がそろりそろり、のろりのろりと向って来ています。真っ白な雪に真っ黒な僧衣がモノクロに映えて見えます。あるいはひょっとしてとよくよく見ますと、それはやはり念仏寺の生臭坊主のようです。
 車から出まして、「お~い、ノリカッチャンとちがうのか?」 と声をかけました。二つ折れになった身体の作務衣から顔をこちらに向けて 「やは~、Kくん、遅ればせながら新年おめでとうございます。いつも賀状貰いっぱなしでもうしわけない・・・」 「なにを言うとんや、こんな雪の中をユニフォームが濡れてしまうぞ、軒の下へ入ろう」 と嵐電の駅の軒下へ。自転車をよく見ますと、バッテリーの付いた電動車でした。 「ええのん乗ってるな」 「ああこれ、嫁はんの母親が買うてくれたんやけど、楽やで、これが無かったらまともに自転車なんか漕げへんわ、そんな体力は無いもんな」 「体調大丈夫か?」 「いや、正月というか今月は仕事はせんつもりやけどな、臨終に正月も今月も来月も無いもんな」 「そらそうやな、ボロい商売やけど因果な仕事やな」・・・とまあ、久しぶりでもあって10分ほども会話を交わしたでしょうか。放射線治療で西京病院へ通院治療に通っているとのこと。寺の跡継ぎのことなど進まない問題を抱えているようでした。 「気をつけて帰れよ」 「ああ、帰ったらバタンキュ~で熱を出すやろな。ほなさいなら」 ふらふらと電動アシスト自転車が黒い衣を乗せて小降りになった雪の中へ消え去りました。
 このモノクロトーンはどちらかと言えば木下恵介調のようでした。
 さてワスも強力ミノファーゲンを静脈に打ち込んでくるか。今日は一発で打てるかな、こう寒いと血管が逃げてしまうから看護士もやりにくいやろけど、こっちも痛てえな。
 嵐電が到着して純白真綿のショールをした晴れ着の若い娘さんが二人談笑して改札を出てきていました。 「プワ~~ン」 という電車の警笛が懐かしくもあり恨めしくも聴こえたものでした。』
 登場したノリカッチャンは、宗旨は違うが私に引導を渡すよう厳重に申し付けた教え子だ。その責任の点でもガンを克服してもらわねばならない。

« ホテル料金 | トップページ | センセでヨカッタ »

趣味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: bonのメールと版画:

« ホテル料金 | トップページ | センセでヨカッタ »

2020年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

最近のトラックバック

無料ブログはココログ